木村興治
日本卓球協会専務理事
2006年1月10日
国際卓球連盟(ITTF)を取り巻く環境とそれに対応する日本の国際力などをまとめてみました。
1.ITTF加盟協会数(大陸連盟別):2005年9月1日現在
アフリカ:44 アジア:44 ヨーロッパ:57 ラテンアメリカ:32 北アメリカ:5 オセアニア:18
計200 (他競技の200以上加盟数のIF:バレー218、陸211、バスケット212 サッカー205、ボクシング202)
参考:1971年94 1983年127 1991年141 1995年170 2001年186
増加要因:①ITTFの普及努力 ②オリンピック種目 ③オリンピックマネーによる普及・指導・用具支援の活発化 ④国情の安定度促進 ⑤ジュニアー・カデットの国際大会増加 ⑥大陸内大会の増加等
2.ITTFの組織
スイスの法律の下に承認された「ノン・プロフィット」組織
本部はスイス・ローザンヌ、他にオタワ、上海に事務所あり。
有給職員:12名程度、本部には研修生も受け容れている。
大会協賛社・TVスポンサー獲得を目的とした100%別会社を傘下に持っている。
1)5大陸連盟以外のITTF公認の卓球組織
-アラブTTF -カリビアンTTF -セントラルアメリカTTC -コモンウエルスTTF -フランコホンTTU -イベロアメリカンTTU -メ デテラニアンTTU -ノースユーロピアンTTU -サウスアメリカンTTC -サウスアジアTTF -サウスイーストアジアTTA -国際パラリンピックTTC
-スウェースリングクラブインターナショナル(SCI)
-国際卓球用具製造社組織(FIT)
2)会議
総会:年1回、世界選手権時に開催、加盟協会全てが出席権利あり、委任状での出席も可。会長が議長。 :憲章・基本ルールの変更、役員人事、世界選手権開催地、予算を決定。会長・執行副会長・大陸代表副会長・委員会委員長報告等。
理事会:世界選手権時に1~2回開催、基本ルール以外の規則・小委員会の設置・その人事・世界ジュニアー開催地等を決定。 会長以下の役員、理事32名、委員会委員長等が出席。(理事は大陸加盟数により配分、アフリカ7、アジア7、欧州9、ラテンアメリカ5、北アメリカ1、オセアニア3)
執行委員会(EC):会長、会長代理、執行副会長 計7名
執行理事会(EB):EC+大陸代表副会長 計12名
会議:世界大会時以外にEC年4回、EB2回程度
3)専門委員会、小委員会、グループ
専門:用具、メデイア、指名、ランキング、ルール、スポーツ科学、技術、審判&レフリー
小委員会、グループ:アスリート、ジュニアー、カレンダーワーキング、表彰・殿堂、新科学技術・研究、ベテランワーキング
4)予算
2004年の実績:一般収入421百万円、オリンピック関係収入288百万円、オリンピックマネーによる普及・開発・大陸支援123百万円
5)ITTFの普及・開発・支援活動
コーチ研修会、ジュニアー訓練キャンプ、女性対象コース、用具支援等
例:2004年 アジア大陸では15ケ国、15のコースが開催された。
3.卓球の国際動向
世界選手権大会への参加協会の増大、普及から強化へ発展協会の意欲大。
発展途上協会での組織、大会、選手発掘・強化活動が活発化。
従来以上に各協会の世界大会主催への意欲増大、競争発生。
役員就任への駆け引き等の発生、委員会委員獲得の競争発生。
IOCのガイドもあり、女性役員・委員の就任要請が高まっている。
歴史的卓球国のジュニアー育成への拍車が強まる。
近年では、新接着剤動向へアスリート委員会、メーカー等の関心大となっている。(2006年9月1日より、揮発性のある現状接着剤は試合会場内で使用できない。2007年9月1日からは全面使用禁止となる。)
北京オリンピックからダブルスに代わる団体戦導入が決定した。16チーム、3選手出場、4単1複(世界初の方式で)
4.日本の国際力維持
国際的に通用する専門能力を要すること。知識・経験・競技実績等。
1TTF・ATTU(アジア)役員、委員会委員への推薦人材の確保。 -ITTF委員会委員のマキシマムエントリーを狙う。
会議へのフル出席。
会議出席への十分な事前準備。
会議での筋の通った発言。
各国関係者との普段からの接触。
外国語、特に英語力の活用。十分でなくとも、意思を交換できる能力。
女性を含む、若い人材の長期的育成・登場機会の増大。
JICA青年海外協力隊隊員へのインセンテブと活用。 以上
以上
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