第77回全日本大学対抗卓球選手権大会観戦記 - 関根正美・聡子

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incol07_heikaishiki01.jpg 早稲田大学卓球部インカレ優勝おめでとう

関根正美(昭和62年卒)
関根聡子(平成元年卒)
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今年も夏のインカレの季節がやってきた。会場となった尼崎市記念公園総合体育館はクーラーの効く体育館だが、決勝の試合では、喉が渇き手に汗握る展開となった。

今回も多数のOBが会場に詰めかけた。観覧席ではもちろん、林会長自ら陣頭指揮、そして、川田幹事長もフル回転である。思えば、決勝への道のりも決して楽といえるものではなかった。決勝トーナメント2回戦(ランク決定戦)の大正大学戦では思いがけず、前半2点取られる苦しい展開になった。惜しい結果となった女子のランク決定戦の応援で心拍数が最高に達していた多くのOBは、男子のこの試合の様子にはそのまま呼吸が止まりそうになったが、心配無用、その後ダブルスから3点を取って逆転で乗り切った。

こうして迎えた決勝の青森大学戦では、トップ対決を時吉選手が制して、序盤から早稲田が優位に立った。時吉選手はネットプレーを自由に操り、伝家の宝刀バックハンドの切れ味鋭く、さらに気合いでも相手を上回っていた。勝利を決定づけた最後の"エッジ"は、卓球の神様がそれを享受するにふさわしい人に微笑んだものである。それは、今大会MVP受賞を確定させた瞬間であった。

2番の久保田選手は惜しい試合だった。ゲームが進むごとにボールが合ってきていただけに、最終ゲームの序盤の入りに悔いが残る。しかし、4年生としての責任感を感じさせる試合だった。続くダブルスでの下山選手は、昨日までの不調が嘘のような当たりを連発した。時吉選手の強打と合わせ、早稲田がほぼ一方的に打ちまくって、気持ちがよいようにそれらが決まった。

決勝点となった4番、下山主将は1ゲームを失うものの、ほぼゲームをコントロールしていたのではないか。そう、「負ける気がしない」試合とは、このようなゲームのことをいうのだ。最後までサーブが威力を発揮し、打てば決まる。応援も最高潮に達し、ここまできたら優勝モードは完全に早稲田側にある。そして、主将が決勝点を取るという、早稲田としては理想通りの優勝の瞬間が訪れた。

優勝の立役者となった4年生の黄金トリオは、最後の学年で大きな花を咲かせた。下山君も時吉君も久保田君も、いろいろな悩みがあったことだろう。しかし、プレーでも態度でも、それを乗り越えた姿を見せてくれた。苦しみを経験しながら選手としても人間としても成長してゆくことに、大学スポーツの意義がある。そしてカプセルホテルに泊まりながら自費で応援に来ていた4年生諸君、この優勝は君たちの応援も大きな力となって勝ち得たものだ。これから先、インカレ優勝の学年として、君たちにはこの日の勝利を語り継ぐ権利がある。まだ今シーズンは続くので来シーズンのことを言うのは気が引けるけれども、4年生が残してくれる遺産は想像以上に大きいと思う。また、今回は残念な結果となった女子であるが、今後の《技・徳・体》の成長に期待したいということをここで付け加えておこう。

平成19年8月5日。男子は大学創立125周年という節目の年に悲願を達成した。この栄光に導いてくださった河原監督をはじめコーチの皆さんに心から感謝を捧げたい。

最後にもう一度、「早稲田大学卓球部、インカレ優勝おめでとう!」

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関根正美さん聡子さんご夫妻が昨年の全日本学生選手権に引き続き、「観戦記」をお寄せくださいました。関根さんには数日後に研修でドイツに赴任されるとのこと。お忙しい中、執筆の無理なお願いをしてしまいました。会場に来られなかった多くのOBOGの皆さんにぜひ、この感動の「インカレ観戦記」をお読みいただければと思います。 (大西 記)